75歳になると医療保険の仕組みが変わる
日本では75歳になると、それまで加入していた健康保険(会社の健康保険や国民健康保険など)から自動的に後期高齢者医療制度へ移行します。保険料の計算方法や給付内容が変わるだけでなく、窓口で支払う医療費の自己負担割合も所得水準に応じて決まる仕組みになっています。
後期高齢者医療制度では、世帯の所得水準に応じて、窓口で支払う医療費の自己負担割合が1割・2割・3割の3段階に区分されます。
出典:厚生労働省「後期高齢者の窓口負担割合の変更等(令和3年法律改正について)」(2026年6月2日閲覧)
2026年現在、団塊の世代がすべて75歳を超え、後期高齢者医療の負担はより多くの家庭にとって身近なテーマになっています。さらに2025年秋には2割負担世帯への軽減措置が終了し、窓口負担の増加を実感するケースも出始めています。
「うちの親は何割負担なんだろう」と気になりつつも、制度の複雑さから調べるのを後回しにしてしまう家庭は少なくありません。しかし負担割合によっては月々の医療費に数万円の差が生じることもあり、親の医療費を家族で把握しておくことは家計管理の重要な一部です。
自己負担割合は3段階
後期高齢者医療制度の窓口負担割合は、世帯内の所得水準で毎年8月に見直されます。
単身200万円 / 複数人320万円以上
単身383万円 / 複数人520万円以上
多くの後期高齢者は1割負担に該当します。年金収入が主な収入源で、課税所得が28万円未満であれば1割です。2割・3割に該当するのは、現役時代から続く資産運用収入や不動産収入がある場合や、高い年金額を受け取っている場合が中心です。
3割負担になる年収ボーダーライン
「現役並み所得者」として3割負担になる条件は、課税所得145万円以上であることに加え、以下の収入要件を満たす場合です。
- 単身世帯:年金収入+その他所得の合計が383万円以上
- 複数人世帯(同一世帯に被保険者が2人以上):合計が520万円以上
ただし、課税所得145万円以上であっても収入合計が383万円(単身)または520万円(複数人)未満であれば、申請することで1割負担に軽減される特例があります。
2割負担の軽減措置が2025年秋に終了
2割負担は2022年10月に導入された区分です。導入時は急激な負担増を和らげるため、外来受診の自己負担増加額に月3,000円の上限を設ける軽減措置が設けられていました。
この措置が2025年9月末で終了し、2025年10月以降は2割の満額負担になっています。2割負担に該当する方の親を持つ家庭では、昨年秋から医療費の支払いが増えているはずです。「なぜ急に医療費が上がったのか」と感じた場合は、この制度変更が原因の可能性があります。
高額療養費制度で月の負担に上限がある
医療費の自己負担が月単位で一定額を超えた場合、超えた分が払い戻される高額療養費制度があります。後期高齢者も対象で、負担割合と所得区分に応じて月々の上限額が定められています。
ただし、高額療養費は原則として後から申請して払い戻しを受ける仕組みです(事前に「限度額適用認定証」を取得すれば窓口負担を上限額に抑えることもできます)。申請を忘れると本来戻るはずのお金を受け取り損ねるため、定期的に確認する習慣が大切です。
なお、食事代(入院時)や差額ベッド代は高額療養費の対象外です。
いえのーとで「親の医療費」を家族全体で把握する
親が75歳になったタイミングや、毎年8月の負担割合見直しのタイミングは、医療費の管理体制を家族で整えるよい機会です。
メモで負担割合と適用期間を記録する
「お父さんは1割負担、判定は来年8月まで」という情報を、いえのーとのメモに書いておくだけで、家族全員がいつでも確認できます。医療機関での手続きや、きょうだい間での情報共有がスムーズになります。
カレンダーで「8月の見直し時期」をリマインドする
負担割合は毎年8月に前年の所得をもとに見直されます。いえのーとの家族カレンダーに毎年8月の見直し時期を登録しておくと、「今年から2割になったかもしれない」という変化を見落としにくくなります。確認書が届くのも8月前後のため、その時期に郵便物を確認するリマインダーとしても使えます。
TODOで高額療養費の申請を管理する
入院など医療費が高額になった月は、後日高額療養費の申請が必要になるケースがあります。いえのーとのTODOに「高額療養費の申請(◯月分)」と登録しておけば、忙しい中でも申請忘れを防げます。親が申請を自分でするのが難しい場合も、家族の誰かが代わりに動くための記録として役立ちます。
「知っていれば得をする」制度こそ家族で共有する
後期高齢者医療制度の負担割合や高額療養費の仕組みは、知っているかどうかで実際に受け取れる給付額や窓口での支払い方が変わります。複雑に見える制度も、「今の親の負担割合」「見直しの時期」「高額療養費の申請タイミング」の3点を家族で共有しておくだけで、いざというときに慌てずに対処できます。
いえのーとのメモ・カレンダー・TODOを使って、親の医療費管理を家族全体の仕組みとして整えておきましょう。
