親から受け継いだ実家が「空き家」になっている——そんなご家庭は年々増えています。遠方でなかなか手が回らないうちに、ある日「あなたの家の草を刈ったので5万円払ってください」と業者から請求が届いたら、どうすればよいのでしょうか。ファイナンシャルフィールドが取り上げたこのケースを起点に、あわてないための考え方を整理します。
「頼んでいない作業」の請求は、原則として払う義務はない
放置していた実家の空き家を業者に勝手に草刈りされ、「代金5万円」を請求されたという相談。ポイントは、自分がその作業を依頼していたかどうかにある。依頼していない作業については、業者との間に契約が成立していないため、当然に代金を支払う義務が生じるわけではない。ただし「空き家の管理が不十分だった」ことと「請求された金額を全額支払う義務があるか」は、別々に考える必要がある。
出典:ファイナンシャルフィールド「放置していた実家の空き家を勝手に草刈りされ『代金5万円』を業者から請求されています。放置していたこちらにも非はありますが… 支払い義務は生じますか?」(ファイナンシャルフィールド、Yahoo!ニュース掲載、2026年7月11日)
契約は「双方の合意」があって初めて成立します。頼んでもいない作業を勝手にされて、その代金を一方的に請求されても、原則としてそのまま応じる必要はありません。「管理を放置していた自分にも非がある」と感じて、つい払わなければと思ってしまいがちですが、「管理不足の反省」と「今回の請求への支払い義務」は切り分けて考えるのが大切です。
あわてて払う前に、まず事実を確かめる
とはいえ、頭ごなしに「払いません」と突っぱねるのも得策ではありません。まずは落ち着いて、次のようなことを確認しましょう。
- 誰が、いつ、何を依頼したのか……本当に作業が行われたのか、いつ・どの範囲を刈ったのか。近隣の住民や町内会が困って依頼した可能性もあります
- 金額は妥当か……作業内容に対して5万円が適正か。見積書や作業前後の写真など、根拠を示してもらえるか
- やり取りは記録に残す……口頭ではなく、メールや書面で「誰の依頼か」「なぜ自分に請求が来るのか」を確認しておくと、後で証拠になります
金額に納得できない、依頼者がはっきりしない、根拠を示してもらえない——そんなときは、その場で払わず、お住まいの自治体の消費生活センター(消費者ホットライン「188」)や弁護士に相談してください。
ご近所が困って動いたケースは「話し合い」も選択肢
一方で、伸び放題の雑草が隣家にまで越境していた、害虫が発生していたなど、放置が実際に周囲へ迷惑をかけていた場合は、少し事情が変わります。近隣の人が「見かねて」業者を手配したのなら、感情面でも無視はしづらいところ。
法的な支払い義務がないとしても、実際に自分の土地の草が刈られて助かった面があるなら、費用の一部を負担する形で歩み寄る、というのも一つの解決策です。「1円も払わない」か「言い値を全額払う」かの二択で考えず、事実を確かめたうえで、相手と冷静に話し合う姿勢が、結果的に近所付き合いも守ってくれます。
いえのーとで「実家の空き家」を家族で見守る
こうしたトラブルの多くは、「誰も定期的に見ていない」「兄弟姉妹で管理を押し付け合っている」といった、家族間の情報共有不足から生まれます。いえのーとで実家の管理を「家族の共同作業」にしておくと、突然の請求にもあわてずに済みます。
カレンダーで「実家を見に行く日」を決めて共有する
「年に数回、誰かが必ず見に行く」と決めてカレンダーに入れ、家族で共有しておきましょう。草木の伸びや郵便物のたまり具合を定期的に確認できれば、近隣に迷惑をかける前に手を打てます。
メモに「連絡先」と「これまでの経緯」を残す
町内会の連絡先、依頼したことのある草刈り・管理業者、過去に受けた連絡などをメモにまとめておきましょう。いざというとき「これは正規の請求か」を判断する材料になり、離れて暮らす家族とも状況を共有できます。
TODOで管理の役割を分担する
「草刈りを手配する」「固定資産税を確認する」「火災保険を見直す」など、実家の管理に必要な作業をTODOにして分担しておきましょう。一人に負担が偏らず、「誰が何をやったか」も見えるので、兄弟姉妹間のわだかまりも防げます。
「知らないうちに」を防ぐのが、いちばんの備え
勝手な草刈りの請求は、突き詰めれば「空き家が誰にも見守られていなかった」ことから始まります。頼んでいない作業に払う義務は原則ありませんが、そもそも放置しない仕組みをつくっておくことが、いちばんの予防策です。
実家の管理を家族の共有ごととして、いえのーとのメモ・TODO・カレンダーで見える化しておきましょう。「知らないうちに」を減らすことが、思わぬトラブルからあなたと家族を守ってくれます。
