台風25号で、横須賀市が示した「ペットと避難する条件」
大型で強い台風25号が関東に近づいた9月20日、神奈川県横須賀市は避難所の開設を知らせるなかで、ペットを連れて避難できる施設とその条件を案内しました。
コミュニティセンター19カ所及び体育会館1カ所では、ペットを連れて避難することができる。ペットは必ずケージやキャリーに入れてくるよう求め、避難所にペットフード、ペットトイレ等は無いため用意するよう呼びかけた。ペットの避難場所は避難者と別になる。犬の場合は「鑑札・狂犬病予防注射済票」の提示を求めている。
出典:横須賀市「令和8年 台風第25号への対応について」(2026年9月20日)
「ペットOKの避難所がある」と聞くと、連れて行けばあとは何とかなると思いがちです。実際には 条件がそろっていないと、その場で受け入れてもらえない ことがあります。キャリーが無い、フードが無い、犬の鑑札が見当たらない。どれも台風が来てから用意できるものではありません。
もうひとつ見落としやすいのが「ペットの避難場所は避難者と別」という点です。環境省は、飼い主がペットと一緒に避難所まで安全に移動することを「同行避難」と呼んでいて、避難所の中で同じ部屋に過ごせることまでは意味していません(環境省「ペットの災害対策」)。横須賀市の案内もこの考え方に沿っています。
飼い主の備えは、まだ少ない
大正製薬が9月2日に発表した飼い主の防災意識調査(2025年12月に犬と猫の飼い主400人に実施)を見ると、こうした条件を満たせる家庭はまだ多くありません。
目立つのは猫の飼い主の数字の低さです。家の中だけで暮らす猫は、キャリーに入るのが通院のときくらいで、「キャリー=嫌なことが起きる箱」になっていることも少なくありません。横須賀市のようにキャリーに入れることが条件になっていれば、猫がキャリーに入れないだけで避難所が使えなくなります。
条件ごとに、家でやっておくこと
1. キャリーに慣らす練習をTODOにする
キャリー慣れは一日ではできません。普段からキャリーを部屋に出したままにして、中におやつやお気に入りのタオルを入れておくと、「入っても大丈夫な場所」になっていきます。
いえのーとの TODO に「週末にキャリーでおやつ」「キャリーの扉を閉めて5分」のように小さな練習を入れ、担当者を決めておきます。家族の誰がやってもいい作業ほど、担当者がいないと後回しになります。
2. フード・水・トイレ用品は自分で持っていく前提で買う
避難所にペット用の物資は無いものとして考えます。持ち出すものは、いえのーとの 買い物リスト に入れておくと、外にいる家族が帰り道に買って帰れます。
- いつものフードと水(少なくとも5日分)
- 飲んでいる薬
- ペットシーツ・猫砂・ビニール袋
- キャリーまたはケージ、リード
- 食器とタオル
- ペットの写真(はぐれたときの捜索用)
フードは、普段買っている袋を1つ多めに買い、古いほうから使っていく形にすると、特別な備蓄をしなくても常に予備がある状態を保てます。銘柄と容量まで書いておけば、誰が買っても同じものがそろいます。
3. 鑑札と注射済票の場所を、家族の誰もが分かるようにする
犬の鑑札と狂犬病予防注射済票は、法律で犬に着けておくことになっていますが、実際には引き出しにしまったままの家庭もあります。避難所で提示を求められたときに探し回らないよう、首輪に着けておくか、置き場所を ノート に書いておきます。
鑑札・注射済票・ワクチンの証明書は、AI登録 で撮っておくと画像が残ります。実物をなくしても番号を確認できます。狂犬病予防注射は毎年4〜6月に受けるものなので、翌年の分を カレンダー に入れておくと受け忘れを防げます。
4. 避難所に行かない選択肢も決めておく
ペットと人の居場所が別になる避難所では、慣れない環境で動物が鳴き続けたり、食べなくなったりすることがあります。自宅が安全な場所にあるなら在宅避難、少し離れた親戚の家に身を寄せるといった選択肢もあります。
どの条件なら避難所へ行き、どの条件なら家にとどまるのか。ハザードマップを見ながら家族で話し、結論をノートに書いておきます。当日に家族がばらばらの場所にいても、同じ基準で動けます。
次の台風が来る前に
ペットの受け入れ条件は自治体や避難所によって違います。横須賀市の案内は一例で、住んでいる地域では別の決まりがあるかもしれません。調査で避難所の受け入れを知っている飼い主が犬で3割、猫で2割にとどまっていたことを考えると、まず 自分の地域の避難所がペットを受け入れるのか、どんな条件なのか を調べることが最初の一歩になります。
調べた結果をノートに残し、足りない物を買い物リストに、練習をTODOに入れる。次の台風が来る前に、家族で一度そろえておきましょう。
