動物愛護週間のさなかに届いた、保護の現場の数字
9月20日から26日は動物愛護週間です。今年は1927年に日本で初めて動物愛護週間の催しが開かれてから100年目にあたり、環境省も「動物愛護週間100年」をテーマに行事を開いています。その週の初日に、犬猫の保護活動を続ける民間団体への調査結果が報じられました。
犬猫の保護活動を行う民間の120団体に調査したところ、過去1年間に保護の依頼や持ち込みが「大幅に増えた」「増えた」と答えたのは58団体(48%)だった。増加の要因としては「高齢飼い主の入院・死亡による飼育放棄」が51団体(87.9%)で最も多く、「多頭飼育崩壊の発生」(65.5%)、「野良犬猫の繁殖」(51.7%)が続いた。調査はペットケア関連会社「犬猫生活」が6〜7月に実施した。
出典:時事ドットコム「犬猫の保護依頼「増えた」半数 背景に飼い主高齢化―民間の120団体に調査」(2026年9月20日)
この数字で目を留めたいのは、いちばん多い理由が「飼い主が世話をやめた」ではなく 「世話を続けられなくなった」 だという点です。入院や死亡は、本人がどれだけ動物を大切にしていても避けられません。飼い主ひとりの責任感の話ではなく、その家族が「もしも」のあとを決めていたかどうか の話でもあります。
同じ記事によると、都道府県などが2024年度に引き取った犬猫は3万9409頭で、前年度より5000頭余り減っています。行政の数字だけを見ると状況は良くなっているようにも見えますが、行政が引き取らなかった犬猫を民間の団体が受け止めている構図があります。調査を行った犬猫生活の発表資料では、保護してから譲渡までの期間は中央値で6か月、1頭を譲渡するまでにかかる費用は平均9.6万円とされています。保護団体に頼るのは最後の手段で、その手前で家族が受け止められる形を作っておくほうが、動物にとっても負担が小さくて済みます。
「実家の犬」は、そのとき誰が預かるのか
犬や猫が15年以上生きることは珍しくありません。60代で子犬を迎えれば、その子が元気なうちに飼い主は70代の後半になります。ひとり暮らしや夫婦二人で暮らす親がペットを飼っている家庭では、入院は予告なくやってきます。
そのとき子ども世代が困るのは、預かる気持ちがないからではありません。何を食べさせればいいのか、薬はあるのか、どこの病院にかかっているのかが分からない からです。こうした情報は、たいてい飼い主本人の頭の中にしかありません。本人が入院していれば、聞くこともままならないことがあります。
家族で決めておきたい3つのこと
1. 誰が預かるかを、第2候補まで決める
「何かあったら誰かが見てくれるだろう」のままにしておくと、当日にきょうだいの間で押し付け合いになりがちです。まず第1候補と第2候補を決めておきます。
大事なのは、引き受けられない事情を先に出しておくこと です。賃貸でペット不可、家族にアレルギーがある、先住の犬や猫と相性が合わない、仕事で日中ずっと留守にしている。こうした事情は、いざというときに初めて口にすると「冷たい」と受け取られやすく、話がこじれます。平時に話しておけば、ただの条件として扱えます。家族の中で見つからない場合は、ペットホテルやペットシッターの候補を調べておくだけでも違います。
2. 世話の情報を、飼い主の頭の外に出す
預かる人が最初の数日を困らずに過ごせるだけの情報を、書き出しておきます。
- ごはんの銘柄・量・回数、食べてはいけないもの
- 持病と飲んでいる薬、飲ませ方のコツ
- かかりつけの動物病院の名前・連絡先・診察券番号
- ワクチンやフィラリア予防などの時期
- 散歩の時間とコース、トイレの場所と習慣
- 性格(知らない人が苦手、雷を怖がる、抱っこを嫌がる など)
最後の「性格」は見落とされがちですが、預かる側にとっては一番ありがたい情報です。慣れない家に移った動物は、それだけで緊張しています。触られるのが苦手な場所ひとつ分かっているだけで、噛まれたり逃げられたりする事故を防げます。
3. 手続きとお金の置き場所を共有する
ペット保険に入っているなら保険会社と証券番号、マイクロチップを入れているなら登録の内容も書き残しておきます。飼い主が変わるときには、マイクロチップの登録情報を変更する手続きが必要になります。通院が続く場合の医療費を誰が、どこから出すのかも、話しにくいぶん先に決めておきたいところです。
いえのーとで「うちの子の情報」を家族で持つ
いえのーとは家族で同じ情報を見られるアプリです。離れて暮らす親やきょうだいも家族として招待しておけば、ペットの情報を一か所にまとめて、誰でも開ける状態にしておけます。
ノートに「うちの子ノート」をつくる
上の3つで書き出したことは、ノート にまとめます。予定でもTODOでもない、いざというときに読む情報の置き場所です。飼い主本人が入院していても、預かることになった家族が自分で開いて確認できます。フードを変えた、薬が増えたといった変化があれば、気づいた人がその場で書き換えます。
カレンダーにペットの予定も入れる
ワクチン、健康診断、フィラリアやノミ・ダニの予防薬の時期を カレンダー に入れておきます。親の通院予定と同じカレンダーに並んでいれば、入院が決まったときに「来週の犬のワクチンは誰が連れて行くか」がすぐに見えます。
預かっている間の世話はTODOで分ける
実際に預かることになったら、朝晩の散歩、薬、トイレの掃除といった世話を TODO に入れて担当者を決めます。家族が交代で世話をするときほど、「もう薬をあげたか」が分からなくなります。終わった人がチェックすれば、二重に飲ませる心配もありません。
フードは買い物リストに銘柄ごと入れる
ペットのフードは、急に変えるとお腹を壊すことがあります。買い物リスト に銘柄と容量まで入れておけば、誰が買いに行っても同じものを買ってこられます。
診察券や薬の袋はAI登録で撮っておく
動物病院の診察券、ワクチンの証明書、薬の袋の説明書きは、AI登録 で撮っておくのが早いです。撮った画像はAI登録履歴に残るため、実物が実家の引き出しの中にあっても、離れた場所から確認できます。
動物愛護週間に、家族で10分だけ話す
動物愛護管理法は、飼い主に対して、動物がその命を終えるまで適切に飼うこと(終生飼養)に努めるよう求めています。ただ、ひとりの飼い主が最後まで元気でいられるとは限りません。飼い主が世話を続けられなくなっても家族が引き継げるなら、その子は最後まで家族の一員として暮らせます。
「もしものとき、この子は誰が見る?」は縁起でもない話に聞こえますが、話してみると10分ほどで終わることがほとんどです。預かる人を決め、世話の情報をノートに書き出す。今年の動物愛護週間を、そのきっかけにしてみてください。
