「年収106万円」ではなく「週20時間」が基準に
パートやアルバイトで働く人が厚生年金に入るかどうかを分けてきた「106万円の壁」が、10月1日になくなりました。
パートら短時間労働者が厚生年金に入る要件のうち「106万円の壁」と呼ばれる収入要件(月額8万8千円以上)が10月1日に撤廃される。今後は当面、従業員数が51人以上の企業で、週20時間以上働く場合に加入する。一方、厚生年金に加入しない短時間労働者が年収130万円を上回ると配偶者の扶養を外れ、国民年金などの保険料負担が生じる「130万円の壁」は残る。
出典:東京新聞(共同通信)「「106万円の壁」撤廃 10月1日、厚生年金の収入要件」(2026年9月28日)
同じ記事によると、2025年度の最低賃金の引き上げで、週20時間以上働けばどの都道府県でも年収が約106万円を超えるようになり、この要件は事実上意味を失っていました。つまり今回の撤廃で変わるのは、「年収を106万円未満に抑えれば厚生年金に入らずに済む」という考え方が通用しなくなる ことです。これからは、年収よりも 契約上の週の労働時間 が加入を決めます。
変わること、変わらないこと
- 変わる:月額8万8千円以上という賃金の要件がなくなる
- 変わらない:週20時間以上、従業員51人以上の企業という要件
- 変わらない:年収130万円を超えると配偶者の扶養を外れる「130万円の壁」
- 変わらない:学生は原則として加入の対象外
厚生年金に入ると保険料は勤め先と本人が半分ずつ負担するため、手取りは減ることがあります。そのかわり、将来受け取る年金は増えます。「損か得か」だけでは決められない話なので、家族で前提をそろえて考えることが大切です。
家族で確かめておく4つのこと
1. 契約上の「週の所定労働時間」を確認する
基準になるのは、雇用契約で決まっている週の労働時間です。年収で調整してきた人ほど、自分の契約が週何時間になっているかを把握していないことがあります。雇用契約書や労働条件通知書で確かめておきましょう。シフトが増えて実際の労働時間が契約を上回る状態が続くと、加入の対象になることもあります。
2. 勤め先の規模と、加入の見込みを確かめる
当面は従業員51人以上の企業が対象です。勤め先がこれに当たるのか、自分の契約で加入することになるのかは、勤め先の担当者に聞くのが確実です。加入するなら、いつから保険料が引かれるのかもあわせて確認しておきます。
3. 手取りと将来の年金の両方で考える
保険料で手取りが減る分と、将来の年金が増える分。どちらか一方だけを見ると判断を誤ります。「週20時間未満に抑える」「時間を増やして手取りを取り戻す」など選択肢はいくつかあり、どれがよいかは家族の状況によって違います。家計全体で話し合うのが近道です。
4. 「130万円の壁」と家族手当の条件を確認する
勤め先の規模などで厚生年金に入らない場合、年収130万円を超えると配偶者の扶養を外れ、自分で国民年金などの保険料を払うことになります。また、配偶者の勤め先の家族手当に独自の収入条件があることもあります。どの壁が自分たちに関係するのかを、夫婦それぞれの勤め先の条件で確かめておきましょう。
いえのーとで働き方の条件を家族と共有する
いえのーとの ノート に「働き方メモ」を作り、契約上の週の労働時間、勤め先の従業員数、加入の見込み、配偶者の扶養や家族手当の条件をまとめておきます。制度が変わるたびにゼロから調べ直さずに済み、夫婦で同じ前提をもって話せます。
シフトは カレンダー に入れておくと、週の労働時間が契約を超えそうな月に家族も気づけます。「勤め先に加入の見込みを確認する」「年末に今年の年収を確かめる」といった手続きは TODO にして、担当と期限を決めておきましょう。
パートと正社員の待遇差のルールについては、10月から「同一労働同一賃金」の新ルールもあわせてご覧ください。
「壁」ではなく「時間」で働き方を考える
106万円の壁がなくなり、厚生年金に入るかどうかは年収ではなく働く時間で決まるようになりました。一方で、130万円の壁は残っています。自分の契約と勤め先の条件を確かめ、手取りと将来の年金の両方を家族で見比べておけば、制度が変わっても慌てずに働き方を選べます。
